https://dot.asahi.com/articles/-/260366?page=1
分析レポート
このサイトのデザインの良い所
「核兵器使用シミュレーション」の表は、初めて見たかも。
珍しいアプローチ、デザインだと感じた。
珍しい理由として、死者数何百万人という推測自体が、読者にとってショッキングな印象を与えるため、一般的なメディアでは扱いにくいからだと考えられる。このAERA DIGITALサイトは一般向けメディアなのに、このような情報デザインが使用されるのは、大変珍しい。
またこの表の、
「〇〇有事」「先制使用国」「応戦使用国」はオレンジ色の背景色が使われており、
総爆発回数は赤い破裂マークを使用、
死者数は紫と黒のグラデーションを使用。
オレンジを使われた意図は、
注意や危険を連想させ、
赤の爆発マークは、攻撃的な印象、
紫黒のグラデーションは、
不吉、死を直観的に連想させ、
黒は破壊、終末のイメージを与える。

このサイトを読んで感じたこと
この「核兵器使用シミュレーション」の表は、私的には、素晴らしいと思った。
前提条件が複雑なのに、デザイン力により、専門家でない一般読者にもわかりやすく説明されていると感じた。
どの国が、どこに撃つか。爆発回数により何万人死ぬのか。をここまで整理して伝えるのは容易ではないのに、20代前半の私でも理解しやすいデザインだと感じた。
しかし、言葉の定義について、一般読者向けなら、表の下に補足として書いて欲しかったと私は感じた。
先制使用国は、最初に核兵器を使用する国。
応戦使用国は、先制攻撃を受け、報復のために核を使用する国。
総爆発回数は、先制使用国が撃った核の数と、応戦使用国が撃った核の数を足した合計数。
というような説明があったらいいなと私は感じた。
このサイトの筆者が述べている「核の傘は幻想」という主張は、ここ数年増えてきていると私は感じている。
日米同盟を疑う言葉を、ネットやメディアで目にする機会が増えたと私個人的には感じる。
しかし、「核の傘は幻想」派でも、核廃絶派と核抑止核武装派の二つの派閥に分かれており、核の傘は幻想と主張する者たちの中で、理想主義と現実主義の意見が対立する。
この筆者は核廃絶派である。
この筆者の論理展開の方法として、
核兵器被害シミュレーションの表で、核兵器に対する危機感や恐怖を読者に与え、核廃絶希望の感情を植え付けるような論理展開、意見主張方法となっている。
恐怖を強調し核廃絶を訴えているが、現実的な解決として文の最後に提示されている解決策は、「核兵器サミットの開催」「核抑止の依存を減らす意思表明の行動」が重要だと述べているが、
私個人的には、政治的スローガン的な役割は果たしているかもしれないが、現実主義的な視点で見たときには、説得力に欠ける懸念があると感じた。恐怖を煽る割には、実現性のある出口が示されていない。
それが原因で、現実主義の「日本も自前で核抑止を持つべきだ」という立場も存在するのだ。
この筆者は理想主義の意見であるが、核をめぐる議論の難しさは、このような理想と現実の乖離にあると改めて私は感じた。
