No.069 ロボトミー手術はなぜもてはやされたのか  website

ロボトミー手術はなぜもてはやされたのか 障害者ドットコム

分析レポート

 

 

このサイトのデザインの良いところ

障害者ドットコムのアイコンは、木のアイコンである。まるで木の実がなっているようだ。

意図としてはおそらく、

「成長」のメタファーだと思われる。

福祉における継続的支援により、当事者の成長や、社会での活躍を祈るような意味だと私は感じた。

また、枝を描いているので、枝というのは「多くの繋がり」という象徴でもあり、サポートをするというようなメッセージが込められていると推測する。

そして、葉っぱではなく、木の実を描いたことで、当事者が社会で成果を残せますようにという祈りも感じる。

 

ロボトミー手術はなぜもてはやされたのか 障害者ドットコム イケてるキノコ|Webサイト100選
ロボトミー手術はなぜもてはやされたのか 障害者ドットコム イケてるキノコ|Webサイト100選

 

 

このサイトを読んで感じたこと

このサイトは、専門性重視というよりは、一般人向けにわかりやすく平易に書かれたものである。

情報の正確さは欠けるものの、一般人が、精神医療の歴史や現代の精神医療をかじってみたいという需要に応えたものだと思われる。

そもそも、このサイトのタイトル名は「ロボトミー手術はなぜもてはやされたのか」というタイトルであるが、本文を読んでみると、

書かれている内容は、ロボトミー手術開発過程と、ロボトミーの副作用と後遺症ばかりが書かれており、「なぜもてはやされたのか」はどこにも書いておらず、タイトルの趣旨と異なると感じた。

確かに、ロボトミー手術の後遺症が多くの人を苦しめたという問題意識は重要であるが、

なぜ、ロボトミー手術が賞賛され、ノーベル賞受賞までできたのか、そこを解説してもらう方が、タイトルの趣旨と合っているだろう。

なぜロボトミー手術が賞賛され、ノーベル賞受賞に至ったのか、私なりに解説してみると、

1940年以降、第二次世界大戦後に、大量の兵士が心を病んでしまい、PTSD、フラッシュバック、うつ病、統合失調症などの精神疾患症状が彼らに多く見られたが、当時は薬物療法が不完全で合ったため、そのような時代背景から、ロボトミー手術が誕生した。

ロボトミー手術は、アイスピックをまぶたの裏から挿入し、前頭葉をえぐり取る。わずか10分ほどで手術が完了。そして、前頭葉は感情を司る脳の部分なので、前頭葉を破壊するだけで、感情が無になり、おとなしくなったように見える。

即時におとなしくすることができる、その手軽さや素早さが、ノーベル賞受賞の大きな理由である。

その歴史的根拠は川村内科診察所にも取り上げられている。

このサイトのタイトルは「なぜロボトミー手術がもてはやされたのか」と書いているのに

このサイトの筆者は「最初のロボトミー手術がおこなわれたのは20世紀初頭です。当時の精神医療のレベルは、現在の医療とくらべると、0に等しいものでした。」と述べているが、

私は、これは誇張表現だと思われる。

聖マリアンナ医科大学の記事に「1900年代前半には人為的にマラリアを感染させることで,ある種の精神病(進行麻痺)が治療可能となり精神医学発展に大きく寄与する。」と書かれているため、

ロボトミー手術前にも、さまざまな精神医療が患者の体を実験台にしてきた歴史は確認できる。

またこのサイトの筆者は「電気ショック療法については「ひと昔前の精神病の治療方法」といったイメージを、持っている人もいるでしょう。」と述べているが、

現代でも電気けいれん療法という名で、精神科医療で行われているので、これも不正確な情報だと思われる。

田町三田こころみクリニックのサイトで電気けいれん療法(ECT)について解説されているが、現代の精神科医療でも取り入れられている治療法である。

またこのサイトの筆者は「もしもある向精神薬が患者に合わなければ、投薬を中止して別の向精神薬を試すことができます。しかし、ロボトミー手術の場合はそうはいきません。」と述べているが、これも正確ではない表現だと思われる。

向精神薬が患者に合わなかったとしても、主治医は「様子見しましょう」「体が慣れるまで待ちましょう」という。学会のガイドラインでは「副作用の訴え=即中止」はできない。また、医療保護入院中は、強制服薬であり、服薬の拒否は一切できない。

このように、事実と異なる表現が散見される。

このライターのプロフィールを見てみると、ライターは精神科患者であり、医療従事者でもなければ、精神科医が監修したわけでもない。

なので、誤解を招く表現や、不正確な情報が多い。

この障害者ドットコムというサイトは、法人運営であるのに、内容の信頼性に不安がある。

法人サイトで当事者患者ライターが書くこと自体は、問題ないと思うし、貴重な当事者視点の情報提供としての意義はある。

だが、信頼性を担保する仕組みはきちんとつくるべきだった。

この記事は「法人だから安心ではない」という良い例だと思った。

メディアの情報は、結局のところ、自分で嘘か真かを確認する必要がある。

ネット記事の情報信頼性を見抜くリテラシーが不可欠だ。

 

ロボトミー手術はなぜもてはやされたのか 障害者ドットコム イケてるキノコ|Webサイト100選
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出典(

聖マリアンナ医科大学雑誌 ロボトミーの歴史(2):ロボトミー以前

田町三田こころみクリニックのサイト 電気けいれん療法(ECT)

 

川村内科診察所 教養としてのロボトミー

)

 

イケてるキノコ|Webサイト100選

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